糖類を発酵して乳酸を生成する
現象を乳酸発酵といい、これに関与する細菌を乳酸菌という。
乳酸発酵をおこす細菌の主要なものは、球状のストレプトコックス属と桿(かん)状のラクトバチルス属である。
いずれもグラム陽性で、通性嫌気性である。乳酸発酵では、六炭糖分子から2分子の乳酸を生ずるが、このとき、ほとんど他の副産物を伴わない場合と、乳酸のほかに、アルコール、酢酸、コハク酸、二酸化炭素などの副産物を伴う場合とがある。
今日の昼食はチーズバーガー
チーズの歴史は搾りたての乳をそのまま放置しておくと、自然に乳酸菌発酵をおこしながら脂肪が上層に浮上し、その下にタンパク質(とくにカゼイン)が乳酸で凝固したカードと、ホエイの3層に分かれる。
したがって、人類は家畜の乳を利用し始めた初期の段階から、バターやカードは容易に得ることができたと考えられ、その保存にはまず単純な加熱や乾燥、加塩などの方法がとられたに違いなく、現在の内陸一帯の遊牧民のチーズも、脱脂酸乳を加熱して得たカードに塩を加えて手で握るなどして、それを天日で風干しにしたものが多い。
紀元前3000年ごろのメソポタミアの粘土板文書にある記録をはじめ、同じころのオリエント一帯の遺跡から、小さな穴がたくさんあるチーズ製造用の漉(こ)し器と考えられる土器が多数出土しているほか、スイスの湖上住居文化遺跡からもその木製品が出土しているというから、酸凝固型のチーズはさらに広い地域に古くからあったことが考えられる。
ウシやヒツジの胃袋のレンネット酵素の発見の時期は不明だが、比較的後代のことのようで、考古学的には前900年ごろのカフカス(コーカサス)のウラルトゥ王国の城の台所か
ら、ヒツジの胃袋の切れ端や穀類、干しぶどうなどの酵母が入った土器が出土している。
それらの製法はバルカン半島、多島海を経てヨーロッパに伝わり、ローマ帝国の発展とともに南からゲルマン民族へとしだいに広く伝播(でんぱ)したものと考えられている。